フィナステリドの副作用について！（肝機能障害・脳卒中・無精子症）
肝機能障害
次に肝機能障害についてなんですけど、これはさっき「アルコー ルとの比較」でお話しした通りです。 実際にフィナステリドが原因で肝機能障害が起きたという事例は、 ほとんどありません。むしろお酒の方がずっと危険です。
次に脳卒中について。これは私も「なぜ、そもそもそんな副作用が出ると言われ始めたのか?」と不思議になるぐらい、フィナステ リドの成分とは関係ないです。
フィナステリドの成分から考えても、脳卒中になるような明確な原 因が全く見つからないんですね。
一応それらしい論文も見つけました。「フィナステリド服用中に若年性脳卒中を発症した 2 症例」という論文です。 タイトルだけ見ると「なんだ、やっぱりフィナステリド飲んだら脳 卒中になるんじゃん」って思うかもしれませんが、これよく読んで みると「脳卒中で倒れた人が、たまたまフィナステリドを飲んでいました」「そして、フィナステリドが脳卒中を引き起こす原因として 推測されるとしたら、こんな事があるんじゃないでしょうか?」
という憶測が書かれているだけなんですね。そしてその憶測って いうのも、「フィナステリドを飲むことによって、エストロゲンとい う女性ホルモンの割合が若干増える」「エストロゲンというのは血 液を固めやすくする、血栓を作りやすくする働きがあるので、それが脳卒中の原因になったのではないか?」 と書かれています。これだけ聞くとなんだかそれっぽい。
でも、よく考えてくだ さい。エストロゲンというのは、女性ホルモンです。ということは、女性に圧倒的に多いホルモンなんです。
確かに静脈血栓症という病気は、男性よりも女性の方が発症する 確率が高い病気です。でも、だからといって女性がみんな脳卒中 になるわけじゃないですよね。いくら可能性が男性より高いって いっても、女性の中で脳卒中になる方は、ごく一部です。
「フィナステリドを飲むことによってエストロゲンが増えて脳卒中になるリ スクが高いから怖い」って思ってる方、もしあなたが女性に生まれていたらどうするんですか? 女性に生まれたら、それだけでフィナステリドを飲むよりもずっと 多い量のエストロゲンが体の中で作られ続けるわけです。
でも世の中の女性を見渡してください。 「脳卒中になるかもなるかも」
って不安になってる方います? いないですよね。
実際にフィナステリドを飲んで多少エストロゲンが増えたとしても、 女性より多い量のエストロゲンが生まれたら、体つきが変わって きたりとか、声質が変わってきたりとか、明確な変化が出るはずです。
でもそこまでの変化が出ていなということは、女性よりも明 らかにエストロゲンの量は少ないっていうことなんですよ。
つまりこの論文に書かれていることは、それっぽいけれども馬鹿げているので、気にするほどのことではないと僕は思います。
唯一フィナステリドの副作用の中でも気にしておいた方がいい「かもしれない」副作用というものがあります。それが、無精子症です。
精子の量が減ってしまうというものですね。
これについては、2013 年のカナダの調査があります。これは 4400 人の男性不妊患者を調べたところ、そのうちの 27 人、0.6% がフィナステリドを使用していたということです。
この数字だけを聞くと「たまたまじゃないの?」って思うかもしれ ません。ただその 27 名の患者が、フィナステリドの使用を中断すると、平均 11.6 倍精子の数が増えたという、けっこう驚くべき調査結果がありました。
サンプル数が 27 人と少ないということと、「フィナステリドが不妊 の 原 因 に な る ん だ ったら、 世界中でもっと大きな問題になってるだろう」っていう事もあるんですけど、いろいろ疑問があるとはい え、これがもう「丸っきり嘘だ」と言い切る根拠もないので、これについては「気にする必要はない」とは言えません。 人生に関わる大事な問題ですから、知っておいた方がいいとは思います。
ただ、幸いなことに、この精子の数が減るという症状は、フィナス テリドの使用を中止すれば元に戻るということもわかっています。 そのため、子作りをする時期はフィナステリドの服用を中断するという形で続けていけばいいんじゃないかなと思います。
